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青柳 和平; 石井 英一
Environmental Earth Sciences, 83(3), p.98_1 - 98_15, 2024/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Environmental Sciences)高レベル放射性廃棄物の地層処分において、坑道掘削損傷領域の透水性の経時変化の予測が、掘削損傷領域内部の割れ目を介した放射性核種の移行特性の評価の信頼性向上において重要となる。特に人工バリア定置後の緩衝材の膨潤圧発生に伴う割れ目の透水性の変化を検討することを目的として、幌延深地層研究センターにおいて実施している実規模の人工バリア性能確認試験領域付近で4年間透水試験を実施した。試験の結果、透水性は時間とともに低下し、膨潤から4年経過した時点で、試験開始時よりも透水性が41%に低下することが確認された。さらに、Barton-Bandisのモデルを適用することにより、膨潤圧の変化に伴う透水性の低下挙動を定量的に再現することができた。割れ目の閉塞の妥当性については、人工バリア性能確認試験実施領域で実施した弾性波トモグラフィ調査において、特に底盤部分の弾性波速度の増大が見られたことから確認することができた。これらの結果から、人工バリアの膨潤に伴う掘削損傷割れ目の閉塞について、実証することができた。また、地層処分事業において、廃棄体定置後の緩衝材の膨潤による掘削損傷割れ目の透水性の事前予測に際してBarton-Bandisモデルの適用可能性が示された。
青柳 和平; 宮良 信勝; 石井 英一; 松崎 嘉輝
資源・素材講演集(インターネット), 5(1), 7 Pages, 2018/03
幌延深地層研究センターでは、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術の信頼性向上を目的として、深度350mの調査坑道において、人工バリア性能確認試験を実施している。当該試験では、処分孔竪置き方式を模擬したピットを坑道底盤に掘削し、ベントナイトを主成分とする緩衝材ブロック、模擬オーバーパック、ヒーターから構成される模擬人工バリアを設置し、坑道全体を埋め戻すことにより、実際の処分環境を模擬し、人工バリア材料および周辺岩盤の長期的な挙動をモニタリングしている。本研究では、ピット及び坑道を取り囲む二次元断面で実施した弾性波トモグラフィ調査に基づき、坑道およびピット周辺岩盤の長期的な挙動を検討した。調査の結果、ピット掘削後は、坑道の底盤およびピット周辺において、掘削時の岩盤のゆるみに起因すると思われる弾性波速度の顕著な低下を確認した。また、緩衝材ブロックへの注水を開始した後は、底盤部およびピット周辺部の弾性波速度が増大していく傾向を捉えた。これは、注水に伴う緩衝材ブロックの膨潤の影響でピットの内圧が増大したことにより、掘削影響領域の岩盤密度が回復した現象をとらえたものと考えられる。